次の10年へ

1.海外へグローバルな展開

 2014年1月にベトナム・ハノイに渡航し、日系企業の工場改築についての調査を皮切りに、8月、11月と渡りハノイの現地法人責任者へ計画案のプレゼンテーションを行ってきた。2015年2月現在も進行中で10月には再度プレゼンテーションを行う予定である。

 沖縄県が一括交付金を使った事業「沖縄建設産業グローバル推進事業」の補助を得たことも今回の計画を後押ししてくれた。JIAのネットワークを利用して、ハノイとホーチミンで頑張っている日本人の若手建築家と現地の建築事情などの情報交換を行い、今後現実味を帯びてくるであろう工場・ギャラリーの改築工事に向けた下地づくりをしている。

 ベトナムやタイの建築技術は、エネルギーを消費し機械的に快適な空間をつくりだすという一昔前の考え方で計画を行っているように思う。一方日本では省エネ、自然エネルギー利用といった考え方が最先端であり、同じ蒸暑地域である沖縄の技術や考え方は大いに役立つものと考える。

 次の10年を見据えたとき、北(東京)を向くのではなく、南を向いて歩んでいくべきである。

2.技術集団の創設

 高い望みを言うとARUP(アラップ)のようなエンジニアリング・コンサルティング会社が沖縄に必要だ。

 小さくてもいい、建築に係るあらゆる技術的課題を解決してくれる集団、計画意匠系の事務所のやりたいことを縁の下で支えてくれる組織の創設が望まれる。組織でなくてはならない。技術者のいくとおりもの考え方が重なりあり、織りあうことで新しい発想と検証された信頼できる技術が生まれる。優れた技術者は2~3年では育たない。

 次の10年を見据えたとき、今すぐに建築専門の技術集団を創設しなければならない。そして、沖縄の多くの計画意匠系事務所を本質的に支えていただきたい。

3.若い設計者の人材育成

 島国沖縄は学生や若手設計にとって恵まれた環境にない。学生から30代前半まで東京で修行をした経験からそう思う。東京では建築系の大学が数多くあり、設計事務所も大手からアトリエ系まで著名な事務所も多いため、学生アルバイトから競争が始まる。

 東京には他流試合、自流試合を重ね、切磋琢磨できる環境が既に当たり前のようにあるが沖縄にはない。我々が建築を志す若者にそのような環境を与え、自己啓発できる段階へ導くべきであると思う。「育てた若者が転職するから困る」という段階の話ではなく、多くの設計事務所が沖縄の若手をみんなで育てようと考えるべきである。弊社も若いスタッフを対象に県外国外視察研修制度を設け、視野を広げ同世代の設計者と意見交換、情報交換など交流を繋げていってもらいたいと思う。


 次の10年を見据えたとき、島国沖縄は若手設計者育成に組織的に力を入れ、優秀な人財を輩出し能力の蓄積を行うべきである。かつての琉球王国がそうであったように。

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