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東南アジア進出へ向けた動き-沖縄県建設産業グローバル化推進事業

2013年度、沖縄県が建設関連業種の海外進出を支援する「沖縄県建設産業グローバル化推進事業」の採択を受け、東南アジアにおける設計受注へ向けた取組みを行うこととなった。そもそもの発端は2012年9月に日本建築家協会(JIA)沖縄支部が国際交流事業を立上げ、タイ・バンコクのキングモンクット工科大学の先生方や現地建築家との交流を行ったことに始まり、今回は泉設計+JIA沖縄支部共同企業体として受託することとなった。また、2013年11月にはタイ北部・チェンマイを訪れ、タイ王立建築家協会(ASA)の現地建築家との交流も重ねた。チェンマイの伝統的で開放的な高床式住居に同じ蒸暑地域沖縄との共通点を見出せたし、ランナースタイルという伝統様式が現代建築にも多用されその同時代性を見ることができた。そして支援事業の採択を受け、いよいよ2014年1月中旬にベトナム共和国・ハノイと政情が不安定なバンコクに意を決して出発。今回の目的はハノイにあるベトナム琉球文化工芸村の複合施設建設に向けた現地視察調査とバンコクのビニール製品製造工場増築に向けた現地視察調査であった。また、両国の建築家協会へアプローチし、ローカル・アーキテクトの協力をもらう際の支援要請と現地の建築事情のレクチャーを受けることであった。

1日目:1月15日(水) 那覇発–1.5時間–台北経由–3時間–ハノイ

那覇を発ち台北経由でベトナム首都ハノイへ夕方到着。日本との時差は-2時間 2日目:1月16日(木) ベトナム琉球文化工芸村視察
ハノイ市内より10km弱の郊外にあるベトナム琉球文化工芸村を視察。広い敷地に事務所棟、工場棟、倉庫棟が点在し、事務所棟以外の建物の老朽化が進んでいる。また、効率よく接続がされてないので機能的にも課題があり、課題解決に向けた新たな配置ゾーニングの提案が望まれる。国内向けの販売ギャラーについても敷地外で検討していきたいとのことであった。最適な配置ゾーニング案を提案することとなった。

余談だが、県内で販売している琉球ガラスの安価な商品はハノイ工場で製造しているが、何と200人の職人が人界戦術で製造しており、手づくりにこだわる琉球ガラス社の社風をうかがい知る事ができた。

3日目:1月17日(金) ハノイ–2時間–バンコク 
夕方バンコクへ到着。日本との時差は-2時間。現政権の退陣を求めるデモの中市内へ

4日目:1月18日(土) 現代建築とタイ伝統建築スタイルの視察
タイの伝統的な高床式住居を視察。沖縄の住居スタイルとの共通点が多いことを再認識。
タイの自然災害として、地震や台風はないが洪水は頻繁に起こる。また、インフラ事情はよくなく、特に電力供給は不安定である。住環境としては電力依存型の機械的な取組みであり、省エネ技術としては大分遅れている。同じ蒸暑地域の建築の提案として、自然エネルギーを活用した沖縄型省エネ住宅や建物の長寿命化手法などが提案できるのではないかと思う。

5日目:1月19日(日) キングモンクット工科大学 講演会・意見交換会
Piyarat Nanta.PH.Drよりタイの建築事情をレクチャー受ける。タイの建築教育のレベルが近年高くなっていて、若い建築家でもパートナーとして十分成り得る。タイ北部と南部では伝統文化が異なり、建築スタイルに違いがみられる。北部チェンマイ周辺のランナースタイルとう伝統的建築様式は、現在のホテル・レストランのデザインに多用されている。

6日目:1月20日(月) タイ王立建築家協会(ASA)副会長Chalermpanth氏と面談:㈱林産業バンコク工場視察
設計業務はかなり分業化が進んでいて、一人の建築家が全てにかかわることはまずない。住宅を含めて150㎡以下の建物は設計事務所に依頼するという習慣はなく、設計料はかなり安いため、設計のみで生計を立てることは困難である。建築関連の法律やルールはかなり整備されているが、執行する機関が守っていないのが実情である。タイで設計監理業務を外国事務所が行う場合は、地元設計事務所と組まないと建築許可が下りない。など、今後タイ国内で業務を遂行する場合の建築事情を聴取することができた。

2015年度までの今後3年間に設計監理契約に向けて視察調査・提案を行っていき、ひとつの実績をつくることで会員事務所が東南アジアに進出する際のノウハウの提供を行っていきたいと考えている。また、本土の会員事務所のクライアントが東南アジアへ進出する際にもノウハウの蓄積を役立ててもらうことも可能となる。

(沖縄県建築士事務所協会 機関紙「ひんぷん」2014年春季号掲載

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